学会報告(neurodiab2017)

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学会報告(neurodiab2017)

On 9月 30, 2017, Posted by , In 院長ブログ, With 学会報告(neurodiab2017) はコメントを受け付けていません

先日休診をいただいてポルトガルの古都コインブラで開催された<Neurodiab2107>に参加してまいりました。これは欧州糖尿病学会(EASD)の糖尿病性神経障害研究グループの学会で、3日間糖尿病性神経障害に関する演題だけというマニアックな学会です。主人の発表があり参加したのですが、糖尿病性神経障害は私の原点といえるテーマでもあります。かれこれ四半世紀前に入局した医局は主に糖尿病と糖尿病合併症である腎臓、神経を専門とする科でした。そこで糖尿病性神経障害についての臨床研究と大学院で糖尿病性神経障害による痛みに関するイオンチャネルの変化についての研究をしました。ですので、やはり今回の学会でも自律神経や痛みに関する細い末梢神経の研究が気になりました。特に興味を持ったのは角膜神経の長さや本数を定量的に評価する<角膜共焦点顕微鏡検査(CCM)>と汗腺を支配する神経の障害を評価する<Sudoscan>という検査です。日本では<Sudoscan>は導入されておらず<CCM>は数施設しか導入されていないようですが、患者さんに痛みを与えず、短時間で客観的・定量的に検査ができるとのこと、患者さんにとっても検査をする者にとっても非常に魅力的です。糖尿病性神経障害の早期診断に有用であるというデータがさらに蓄積すれば、パーキンソン病・DLBにおけるMIBG心筋シンチのように一気に広まる検査なのかもしれません。

当院では自律神経検査として副交感神経の指標であるCV R-R、交感神経の指標である起立試験(tilt台がないので)、太い末梢神経の評価として簡易型の誘発筋電図を行っています。実はうちの患者さんは血糖コントロールが良い方が多いためか有痛性神経障害はあまり目立ちません。今回の学会で学んだことは糖尿病の方だけでなく高齢者やパーキンソン病などの神経変性疾患における自律神経障害や脊椎疾患の方のひどい神経痛・知覚過敏などの治療・管理に活用したいと思います。